グルコサミンといいますと、まだ似非科学、効果は偽薬(プラシーボ)効果である思い込みであるという否定的な意見を口にする専門家や医師が存在します。しかし、グルコサミンに関してはヨーロッパでは古くから関節痛の治療薬として使用されてきたという歴史があります。また、臨床試験などもおこなわれ、その効果というのは幾度も確認されています。今回はグルコサミンの臨床試験と試験結果を紹介します。

グルコサミンと効果

グルコサミンをサプリメントで摂取する理由としては、すり減った軟骨を再生させるためです。そのため、グルコサミンの効果効能として一般的なものは、すり減った軟骨の再生です。

そして、軟骨は固い骨と骨が直接ぶつからないようにクッションのような働きをします。人間の膝関節には、普通に歩いているときには体重の3倍の負荷がかかります。そして階段の昇り降りのときには体重の5倍の負荷がかかるといわれています。

軟骨がすり減りすぎてしまい、クッションとしての役割を果たすことができなければ、負荷が膝関節にかかってしまい、固い骨と骨がぶつかり痛みとなり、関節痛となります。最初は休憩すれば治りますが、次第に動くだけでも痛みを覚えるようになります。

グルコサミンを飲むことで、軟骨の再生効果が期待できますので、辛い関節痛の改善、または予防を期待していいでしょう。

グルコサミンと臨床試験

しかし、軟骨の回復が期待できます、といってもそれを確かめる臨床試験をしないで回復しますと断言するのは似非科学です。つまり、明確な実験結果がないのであれば、思い込みにすぎません。

以下では、グルコサミンの臨床試験とその結果を紹介します。

1960年代のドイツ・イタリアの実験

ヨーロッパでは古くから、グルコサミンは関節痛の薬として用いられてきましたが、1960年代にドイツとイタリアにて、本格的にグルコサミンに関節痛の改善の効果があるのかを調べるための実験が行われました。

この検証の結果として、関節痛の治療に効果が期待できることが、初めて科学的に確認されました。

1982年のポルトガルでの実験

1960年代の実験の後にも、マウスやニワトリを利用しての実験が行われていました。

1982年にポルトガルにて、人間の変形性関節症への有効性について、臨床試験がおこなわれ、人間の変形性関節症の症状緩和に対して、効果があると結果がでました。

2001年のベルギーでの臨床試験

2001年に、ベルギーにて変形性関節症の被験者212名を対象にして、1日1,500mgのグルコサミンを与えるグループ、偽薬を与えるグループに分けて、3年間の臨床試験がグロセット教授のもとで行われました。

結果として、グルコサミンを1日1,500mg摂取していたグループの軟骨の減少量は平均0.06ミリであったのに対して、偽薬を与えたグループは3年間で平均0.31ミリの減少が確認され、グルコサミンの摂取により、軟骨の減少速度に明確な差が出たことが確認されました。

現在、グルコサミンの1日平均摂取量が1,500mgであるのは、このグロセット教授の実験結果を受けての科学的根拠に基づいたものです。

日本での実験

日本でも健康食品メーカーのオリヒロ社が実験を行っています。内容は膝の痛みを自覚しているものの治療を受けていない男女30名を対象に3つのグループに分けて実験を行いました。

  • グルコサミン・コンドロイチン含有サプリメントを摂取(被験商品群)
  • グルコサミン含有サプリメントを摂取(対照商品群)
  • グルコサミンを含まない偽薬を摂取(プラセボ群)

試験期間は6週間gとして、試験食を1日2回(朝・夕食)に分けて摂取してもらい、摂取前後で疾患特異的QOL(日本版変形性膝関節症疾患機能評価表:JKOM)を用いて、膝関節痛を評価し、その結果か下記の物です。

この3つのグループでの実験結果は下記のものです。

JKOM得点は、値が高いほど、症状が悪いことをあらわしています。

そして、JKOM得点の変化量に関しては下記の通りです。

グルコサミン・コンドロイチン含有のサプリメントを摂取したグループがもっとも症状の改善があり、偽薬の摂取グループがもっとも症状が改善しませんでした。

グルコサミン・コンドロイチン含有のサプリと偽薬摂取グループを比較すると69.0%と大きな差があります。これらのことから、グルコサミン・コンドロイチン含有のサプリメント摂取する方が、より有効な効果を得ることが出来ます。

協和発酵バイオの実験

協和発酵バイオでも、平均年齢69歳の方々50名を、3つのグループに分けて、毎日グルコサミンを摂取させる実験を行いました。

  • 1,500mgの摂取をするグループ
  • 1,000mgの摂取をするグループ
  • 偽薬を摂取するグループ

結果としては下記のものがあります。

1日1,500mgのグルコサミンを摂取したグループの方が、1,000mgのグルコサミンを摂取したグループよりも、膝の痛みの改善および日常の生活のしやすさが改善しています。

2001年で行われたベルギーでの実験の裏付け的な結果となりました。

まとめ

グルコサミンは、ヨーロッパでは古くから関節痛の薬として使用されていましたが、1960年代のドイツとイタリアの実験にて、関節痛の改善効果があるものと確認されました。さらにポルトガルの実験で変形性関節症の緩和効果に有用性があるとされました。

そして2001年のベルギーの実験で1日1,500mg摂取することで、軟骨の減りを軽減させる効果があることが確認され、日本で行われた臨床試験において、その裏付けが行われました。

また、コンドロイチンとの併用で高い、より高い効果があることがわかりました。