グルコサミンに関しては、欧米圏では医薬品として変形性関節症の一般大衆治療薬として現在でも使用されていますが、日本ではグルコサミンの医薬品は非常に稀であり、基本的には健康補助食品、サプリメントとしての購入になります。なぜ、医薬品としてのグルコサミンが日本では少ないのか、今回は紹介をします。
グルコサミンの医薬品
グルコサミンに関しては、ヨーロッパでは古くから関節痛や変形性関節炎の治療薬として用いられてきました。これは現在でも同じように重宝されており、フランス、ドイツ、イタリアなどでは一般大衆治療品であり、薬局でOTCとして普通に販売をされています。
そして、近年ではアメリカの医療現場においてもグルコサミンは治療薬として使用されています。関節炎の患者へ抗炎症剤や鎮痛剤とともにグルコサミンが処方されているのです。また、痛み自体が無くなった場合は再発予防のためにグルコサミンを処方して経過観察をします。
欧米圏では、医薬品として確固たる地位を築いているグルコサミンですが、日本ではグルコサミンの医薬品化はあまり活発に行われていません。医薬品としては日本薬師堂が販売する「グルコンEX」のようなものがあるくらいで、日本で流通しているものの多くが医薬品ではなく健康補助食品、つまりサプリメントとして流通しているのが現状です。
グルコサミンの医薬品の経口摂取問題
日本でグルコサミンの医薬品化が遅れている原因の1つが、グルコサミンを経口摂取、つまり口から飲んで、グルコサミンの効果効能である、軟骨の再生や関節痛の予防・改善が的確に現れるのか、それとも現れないのか、論争となっているのです。
この論争に関しては世界中で活発に繰り広げられており、効果があるという研究論文と効果が無いという研究論文が大量に出回っていますが、いまだにどちらが正しいのか決定的な証拠がありません。
「よくわからない」、これがグルコサミンの医薬品化が遅れている原因の1つです。
認可をとる手間暇
もう1つの問題として、厚生労働省から医薬品として認可をとる手間暇です。認可をとる場合、莫大な時間と費用、そして労力がかかります。そして、グルコサミンの医薬品の認可を得た場合、費やした時間と費用、そして労力が回収できるのか、この点が疑問視されており、医薬品の認可を積極的にはとりにいかないのです。
実際問題ですが、医薬品として認可を厚生労働省からとりつけたとしても、コンドロイチンとは異なり容易に抽出することのできるグルコサミンはサプリメントとして、すでに市場にはあふれかえっています。そのため、わざわざ高額な医薬品を購入するよりは、医薬品より劣るけれど効果、同じ成分が入っているサプリメントを消費者が購入するのは当然です。
その上、効果に関しても効くのか、効かないのか、論争がなされているのですから、医薬品メーカーが認可をとるために、人、物、金、時間などの資源を集中させるかといえば、あまりにもリスキーな行為なのです。
医薬品にこだわらなくても
グルコサミンに関してですが、医薬品になってしまった場合、現在のように手軽に購入することが出来なくなります。そのため、現在のようにサプリメントとして流通していてもらった方が、消費者としては手軽に摂取することができるので、わざわざ医薬品化するメリットはないといえるでしょう。
まとめ
グルコサミンは、ヨーロッパ、アメリカでは関節痛や変形性関節症の予防薬として薬局で医薬品として販売されています。しかし、日本の場合、医薬品として認可させるまでには時間がかかり、なおかつ確実に効果があるとは言えない現状、そしてサプリメントが大量に流通しているので、医薬品化を検討するメーカーは多くありません。
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